脳内に収まりそうもない日常の断片
2009.11.14 Sat
![酔いどれ天使<普及版> [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/510r1wSALdL._SL160_.jpg)
酔いどれ天使鑑賞。
MY黒澤映画祭、鑑賞後にもう一度巻き戻して見返したのはこの映画がはじめて。いやー凄まじいラスト。かっこ悪い最期だけどそれがメチャカッコいいのは三船だから。若いやくざを演じる三船が病魔に蝕まれていく様が壮絶。
はじめは和製ジェームスディーンのような2枚目を演じているけど、やっぱりあのギラギラした野性味は隠し切れないのね。ジャングルブギで三船が踊るシーンなんか、フランケンシュタインかと思った(笑)破れかぶれのヘンテコなダンス。何度見ても面白い~!
死に向かって落ちぶれていく三船の芝居は繰り返し鑑賞したい。死を受け入れず抵抗し足掻いて足掻いて・・・最期は自ら死に急いでくたばっていくんだけど、それでもその様には死に行くものの美学がある。尤も黒澤監督にはそういう意志はなかったものと思われるが(笑)三船が美学に昇華させてしまった。
殺しの歌ってのを親分が奏でるシーンがある。劇中ではマンドリンと呼んでいたけどあれ、アコギじゃないの?
あの曲が癖になるわ。メロディーが頭から離れないのよー。本当はクルト・ワイルの『三文オペラ』で主人公のメッキースが歌う『マック・ザ・ナイフ』を弾く予定でだったのが著作権料が法外に高いことで断念し、似通った雰囲気のオリジナル曲急遽作ったという。マック・ザ・ナイフの持つ曲のイメージ(悪党の宣伝の歌)を効果的に使いたかったのだがその目的が果たせなかったとされている。そうかしら?!私個人的にはこのオリジナル曲のほうが断然インパクトがあると思うわ。静かで悲しげで単調だけど、だからこそより何か追い詰めていく感じがして怖いじゃない?あのメロディーがこの映画の雰囲気にピッタリなのよ。
野良犬で演じた真面目な刑事役より断然こっちが三船らしい。若く粗暴なやくざだけど仁義、忠誠心に熱く実は純情。どうにかしてやりたくても素直に言う事を聞いてくれないやんちゃ野郎。子供のように病気に脅え子供のように人生に絶望する。「あんたにはやくざなんて似合わないよ」と女に諭されるシーンがあるけど、私があの酒場の女でも同じことを言っただろうな。ああいうやんちゃな男は可愛くって仕方がない。・・・・おっとーこれ、だめんずの証明だわね(笑)
タイトルの酔いどれ天使は三船のことではなく、彼を助けようとする医師のことなのね。
酒飲みで短気な人間臭い医師と、三船演じるやくざのぶつかりあいはどうにも歯がゆいのだが美しい。なんとか病気をなおしてやらんと、なんとか裏家業から足を洗ってもらわんと、、、、という、医師にとってはなんの得もない想いひとつで、親分にまで身体を張って守ろうとする姿が渋い。今時には少ない男性像。
親分が自分の命を虫けら程度に思っていたことを知って絶望の淵に闇市を徘徊するシーンで街のスピーカーから流れてくるカッコウワルツ。コントラプンクトの手法が実に効果的に生きている。あ、そういえば最初の闇市のシーンでは会津磐梯山が流れてたよね?!故郷の音楽をここで耳にするとは思わなかったので思わずニンマリ。
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*Comment*
プロフィール
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rita
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性別:
女性
職業:
ナレーター
趣味:
本 映画 グルメ
自己紹介:
ナレーター
フリーアナウンサー・キャスターとしてラジオの経済系番組レギュラーを15年…。
今後「ナレーター」として仕事の幅を広げていきます。
好きな映画 ガタカ 運動靴と赤い金魚
好きな作家 遠藤周作 篠田節子
マルコ→ウチの人 拡張型心筋症という病気です
フリーアナウンサー・キャスターとしてラジオの経済系番組レギュラーを15年…。
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