脳内に収まりそうもない日常の断片
2009.11.22 Sun
天国と地獄鑑賞
前半三船、後半山崎努。軸となる役者が前後半でがらりと変わるのね。全編通して出てるのが仲代達也。刑事だから。(デカって入力しても変換してくれない・・・。「デカ→刑事」「ホシ→犯人」くらいデフォ設定しといてくれればいいのに。とぶつぶつ言いながら辞書登録。一体今後いつ使うんだかわかんないけど)三船が被害者、若い山崎が犯人。
やーラスト、あの場面で終わりますか・・・・。
そもそものシナリオではもう1カットあったようだけど黒澤監督があのシーンをいたく気に入ったため、山崎努の迫真の芝居でエンディング。若い山崎努演じる神経質で不幸な若者像は畜生にも劣る犯人であるはずだが、ラストシーンは哀れでつい同情の念を抱いてしまう。(だめんず魂がちょっと揺らぐ)
でもああいう青年って救いようがなさそうだな。現在で言うなら○chあたりで有名人の悪口を一日中吐き続けているタイプ。あったこともない有名人に殺害予告とかしちゃうタイプ・・・・。やっぱ私には救えません。
推理モノなので派手な殺陣があるわけでもない。
この映画の見せ場ってのは何箇所かに絞られる。このコントラストがまた狙いなのだろう。
なんてったって、前半小一時間はずっと同じ部屋の中だ。登場人物が入れ代わり立ち代りするものの、1時間近くも同じ部屋で喋ってるだけって展開は流石に息苦しい。いや、この息苦しさも狙いなのだ。きっと。
身代金の受け渡しで電車に乗り込むシーンで、初めてその部屋を出るんだけど、その時の電車のプァァーーンって音がやたら大きく印象的。そしてその電車の中での出来事は秒単位で進んでいく緊迫感。誘拐犯に身代金を払うか払わないかだらだら悩んだ1時間と比較すると今度は息が上がるほどの緊張に襲われるという流れだ。そしてこの緊迫の電車のシーンはたった5分。CMかっ?!
しかもここまで一切音楽なしなんだよねー。
子供が戻ってきた時に(映画開始から1時間後くらい)初めて音楽が流れる。音楽というより、、、効果音なのかな、アレ。それまで効果音が一切使われていなかったので劇的な効果があるわよね。
後半はあらゆるシーンで音楽が印象的に流れてきて楽しい。
犯人が初めてスクリーンに姿を現した時にはシューベルトの「ます」
犯人逮捕の瞬間の音楽はあれは共犯者の部屋のラジオから流れてくるのかな?
シューベルトの「オー・ソレ・ミオ」
逮捕という犯人にとって絶望の瞬間にオーソレミヨ!!この歌詞を見よ。
まるで祭日のようなさわやかな空
晴れた日は何て素晴らしい
だけどもうひと方の太陽
なお一層輝かしい
私の太陽
きみの顔に輝く!
太陽、私の太陽
きみの顔に輝く!
きみの顔に輝く!
黒澤が好んで使ったコントラプンクト手法。
※でも一説には黒澤監督はエルヴィスプレスリーの
「イッツ・ナウ・オア・ネバー」を使いたかったようです。
ところが著作権使用料が高くて使えなかったんだって。
あれ、こんな話酔いどれ天使でもあったわね。でもエルヴィスの曲だったら歌詞は反対の意味だそうですから…そっちが狙いだったのかな?
三船の存在感はやはり凄い。ほぼ前半で見せ場はなくなってしまうのに。最初は傲慢な男?という雰囲気もあるが、後半に向かって実に立派な人格者になっていく。浪人やチンピラをやらせたらこの人の右に出るものはいないと思っていたけど、金持ち役もはまり過ぎるくらいにはまる。貫禄があるんだよなぁ。
個人的ヒットは焼却炉のオヤジ(笑)ホンモノです。役作りとは思えません(笑)
黒澤映画ってこういう端役の町人や村人や農民らがリアリティありすぎで面白い。ドヤ街でのジャンキー連中や犯人役の不幸な設定もそうだが、社会の底辺とカテゴライズされる人間を炙りだすのが好きらしい。そしてそういう端役の役者がとても素晴らしいのも黒澤映画の醍醐味である。ああいう役者、どこで見つけてくるんだろ。
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rita
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本 映画 グルメ
自己紹介:
ナレーター
フリーアナウンサー・キャスターとしてラジオの経済系番組レギュラーを15年…。
今後「ナレーター」として仕事の幅を広げていきます。
好きな映画 ガタカ 運動靴と赤い金魚
好きな作家 遠藤周作 篠田節子
マルコ→ウチの人 拡張型心筋症という病気です
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